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- 2020.12.11
昭和のカシミールカレーとコンチネンタルカレーものがたり
こちらは、デリー開業当時、昭和30年代の初めの写真です。お世話になっている上野観光連盟様から提供いただきました。場所は、上野広小路で松坂屋デパートが見えます。都電も2線交差し結構な賑わいです。オート三輪も頑張ってます。
カシミールカレー60周年を記念して この度、当時のカシミールカレーとコンチネンタルカレーを再現しました。お求め頂いたお客様は、どんな印象を持たれたでしょうか? 気に入っていただけたでしょうか?
シャープな感じの現在のカシミールカレーと違って、辛味はほどほどに、とろみもあって親しみやすいカシミールカレーです。ですが、肝心の味の印象は今も昔も全く変わっていないと感じます。辛いカレーは、今は山ほど巷にあふれていますが、当時のカシミールカレーはかなりセンセーショナルなカレーでした。
初代社長の生家は、富山で味噌、醤油を製造する家でしたが、社長は船乗りにあこがれ商船学校に入学するも、後に“色弱”と分かり断念。明治大学に進学後、商社マンになりインドを中心にアジア各国に滞在。初めて本物のカレーに出会いました。
社長はその生い立ちから“旨味”というものに強いこだわりを持ち続けていました。現地で覚えた多種多様のスパイスを駆使し日本人の舌にかなう味を追い求めて完成したカシミールカレー。そこには、デリケートな“旨味”がキーポイントとなっているのです。
カシミールカレーの名称について、初代社長は、はじめマドラスカレーと決めていたのに、なぜかメニューを作るときにカシミールカレーと間違って発注。嘘のような本当の話です。辛さ的には、灼熱のマドラス(チェンナイ)の方が真実味はありますね。カシミール地方は、スキーができるような寒いところなのでそんなに辛いものは無いはずです。
カシミールカレーの”神秘性”を貶めるようで申し訳ないのですが。
こちらは開業して数年後の当時のメニューです。凝り性の初代社長がデザインを芸大のインターンに依頼したと聞いています。昭和30年代にしてはなかなかおしゃれではないでしょうか? よく見るとカレーにデミタスコーヒーがついてます。カレーは、ほぼ¥100前後ですね。洋食出身のコックもいたので本日のランチでチキンソテーとか、カレースパゲッティ、カレーサンドイッチなどなど美味しそうなメニューもありました。
さて、コンチネンタルカレーは、カシミールより古く、当初はポークカレーやビーフカレーという名称でした。なんとその後、印度料理と看板を出しているのにビーフカレーとは、けしからんとインド大使館からクレームがあったとか!ビーフカレーは残念ながら消えてしまいました。牛は、神様の乗り物、牛を食するのはご法度だったのですね。しばらくして名称はコンチネンタルに変わりました。インドカレーとはっきり区別するためにヨーロッパ風を意識して名付けたものだそうです。
コンチネンタルカレーは、当初、出汁に煮干しが入っていました。トロッと濃度が強いのに胃にもたれない。嫌味がなく食べ飽きないのも特徴です。作るのに手間暇のかかるカレーで、滑らかな仕上がりにするのに延々とルーを攪きつづけます。コンチネンタルーの滑らかさ、舌触りの良さを感じていただければ幸いです。
今夜は、久しぶりに昭和のカレーをいただきます。
カレーソースなので各二人分。カシミールカレーとコンチネンタルカレーとで計4人分の量です。夫婦二人で食べるには多めかなと思いましたが、なんと完食!
カシミールカレーとコンチネンタルカレー 最強の組み合わせではないでしょうか。
心地良く満足感にひたれました。
U.T